High Volatility Equity Trading(旧)

高変動株式のトレーディング記録

株式トレーディングによる資産運用を行う際の3原則

1.マネー・マネジメント(資金管理)

資産運用を行う上で最も重要なポイントは「複利の原理」である。トレーディングで得られた利益を投資元本に加えることにより元本を増やすことができるので、 トレーディングの利益率が同じでも増えた元本の分だけ利益額は増大することになる。

これをわかりやすく説明するために、単利で運用した場合と複利で運用した場合とで、運用結果の差がどのようになるかを見てみる。

投資元本を100として、年間10%のリターンを10年間継続して得ると仮定した場合、10年後に投資資金がどれくらいになっているかを計算する。

①単利運用の場合

この場合は、投資元本に毎年100x0.1=10の利益が加算されるだけなので、

100+(10+・・・+10)=100+10X10=200

となり、10年で2倍になる。

②複利運用の場合

この場合、年度初めの投資元本にその年の利益を加えたものが次年度の投資元本になる。具体的に計算してみると、

1年目:100+100x0.1=100x(1+0.1)=110

2年目:110+110x0.1=110x(1+0.1)=100x(1+0.1)^2

    (^2は2乗を表す)

 ・

10年目:100x(1+0.1)^10=259

となり、10年で約2.6倍となる。同じ運用をしていても、単利に比べて59の超過収益(率に直して約30%の増大)を得ることができる。

③高い収益率を上げる年があった場合の運用結果の差

時々大きく値上がりする株を保有していることにより、ある年の収益率が上振れる場合が起こりうる。この場合に、最終的な運用結果がどの位変化するかを計算してみる。

大きく値上がりする株は稀であるが、値上がりのレベルを下げればそのような銘柄の数は次第に増えてくるであろう。

よって、基本的に年率10%の運用を行う間に、(a)1年だけ10倍株に出会えた場合、(b)3倍株に出会えた年が3回あった場合、(c)50%値上がりした株を保有した年が5回あった場合、(d)30%値上がりした株を保有した年が7回あった場合に、最終的な運用結果がどのようになっているか計算してみると、

(a) 100x(1.1)^9x10=100x2.36x10=2360(約23倍)

(b) 100x(1.1)^7x3^2=100x1.95x9=1755(約17倍)

(c) 100x(1.1)^5x(1.5)^5=100x1.61x7.59

  =1222(約12倍)

(d) 100x(1.1)^3x(1.3)^7=100x1.33x6.27

  =834(約8倍)

宝くじに当たるようなものであるが、やはりテン・バッガーの威力ありでしょうか。

 

2.リスク・マネジメント(リスク管理

 この複利運用の恩恵を享受するにあたって最大の障害となるのが投資元本の毀損である。毎年前年度より増えた投資元本で運用を継続していくことが複利運用の要点なのであるから、投資元本を毀損することは極力避けなければならない。このためには、運用のリスク管理を行うことがとても重要である。

具体的には、ポジションと反対方向に相場が動いたら、速やかにリスク・オフを行う(ポジションをオフセットする)ことを、基本動作としなければならない(プライス・ストップの原則)。

また、資本効率の面から言えば、ポジションを取ったあとに相場が膠着状態になったら、速やかにポジションをオフセットすることも検討に値する(タイム・ストップの原則)。

さらに、ポジションに思い入れ・思い込みを持つことは避けなければならない。相場に関する様々な情報は参考にしても、最後は値段の動きに従ってポジションを取らなければならない(トレンド・フォローイングの原則)。

 

3.トレーディング・マネジメント(売買管理)

実際の売買を行うにあたっては、事前に設定した売買ルールを指針として淡々と行うことを基本動作としなければならない。

売買を行うにあたって最も重要なのがトレンドの認識である。株価が上昇トレンド、下降トレンド、あるいは持合いにあるのかを判断することが、トレードを行う際の出発点となる。

このトレンドを判定するのに使用するチャート分析のツールとして、10・25日移動平均線(10・25MA)、25日ボリンジャー・バンド(25BB)の2種を用いる。

上昇トレンドの判定としては、25MAの傾きがプラスである、チャートが25MAの上にある、10MAが25MAの上にある(ゴールデン・クロス)、チャートが25BBの1σと2σの間で動いている、という諸条件をいくつか満たしているかどうかで判定する(下降トレンドはこれらを反転したものが条件となる)。持合いは、25MAの傾きがフラット、チャートが25MAの周りで移動、チャートが1σと-σの間で動いているような場合である。

トレードは、安く買って高く売るのが基本動作であるから、下降トレンドから上昇トレンドに反転する時に買って、上昇トレンドから下降トレンドに反転する時に売れればよい。この為には、あるトレンドがさらに継続するのか転換するのかを判定する必要がある。

株価が下降トレンドに沿って下がってきた時、チャートにはこの下降トレンドに沿ったレジスタンス・ラインが形成される。このラインをチャートが上方にブレイクした時、下降トレンドが終了し上方トレンドに反転するものと予想して買いエントリーする。この場合、高い値段でエントリーすることになるので、予想が外れた場合を想定して下にストップ・ロスを入れておくことを忘れてはならない。さらに、下落相場の終盤には下降トレンドから乖離してセリング・クライマックスを迎える場合がある。この場合には、移動平均乖離率が-8%を超えたり、ボリンジャー・バンドの-2σから大きくはみ出す状況になったりするので、この値動きのヒステリー状態(過熱感)を見極めて買いエントリーする。この場合は、さらに下に抜けて続落するリスクがあるので、同様に下にストップロスを入れておかねばならない。株価が上昇トレンドから下降トレンドに反転する場合は、これらの逆を行うことになる。

一方、株価がトレンドを伴って上昇あるいは下降した後、天井圏あるいは底値で持合いに移行する場合がある(あるいは中段持合い)。この場合、持合いのチャネルからブレーク・アウトした方向にトレンドが発生するものと予想してエントリーすることになる。この時、このブレーク・アウトが出来高を伴ったギャップ・ダウンあるいはギャップ・アップであればあるほど、市場のエネルギーが伴っているので確度の高いものになる。

 

以上、株式をトレーディングすることにより資産運用する際の留意点について述べてきたが、この3原則を指針として行動することにより着実に資産を増やすことができると考えている。このブログでは、この考え方を実際に検証するために、売買の記録を付けてレビューしていく予定である。